東南アジアエアラインといえば競争が激しいがゆえに長距離路線からの撤退をよく聞きます。その中で1か国だけ長距離路線が残ってたりということがよくあります。
そこでその残っている路線は旧宗主国(欧米)へのフライトという仮説を立てて検証します。
ベトナム
フランスが植民地支配
ベトナム航空長距離路線
ハノイ、ホーチミン~ロンドン・ヒースロー、パリ・シャルル・ド・ゴール、フランクフルト、ハノイ~モスクワ
ベトナム航空も旧宗主国であるフランスへのフライトがあります。
このうちハノイ発ではデイリー運航はパリのみで機材もボーイング787より大型のA350です。ちなみにフランクフルトは週6でボーイング787、ヒースローは週4でボーイング787、モスクワは週2-3でA350です。
ホーチミン発着ではパリが週3でA350、ヒースローが週3でボーイング787、フランクフルトが週4で787です。
旧宗主国フランスへはベトナム航空が保有する最大機材、そしてハノイ、ホーチミンからは週10便と最も輸送人数も多くなっています。(フランクフルトも2都市合わせると週10便だが機材が小さい)
フィリピン
スペインとアメリカが植民地支配
フィリピン航空長距離路線
マニラ~ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ホノルル、トロント、バンクーバー、ヒースロー
フィリピン航空はスペインへのフライトはありませんがアメリカへは4都市あります。またカナダ、イギリスにもあります。
まず旧宗主国アメリカへはロサンゼルスへデイリー+週5-7便で合計週12-14便で機材はボーング777-300ER、サンフランシスコへデイリー+週2-7便の合計週9-14便、ニューヨークへ週5-7便でA350-900、ホノルルへ週4便でA330-300です。
特に西海岸のロサンゼルスとサンフランシスコへは多いときだとそれぞれダブルデイリーとかなり多いことがわかります。
次にカナダのトロントへは週3-7便でA350-900、バンクーバーへは週5-7便でボーイング777-300ER、ヒースローへは週5でA350-900です。
旧宗主国(アメリカ)へのフライトは長距離路線では圧倒的に多いことがわかります。
インドネシア
オランダが植民地支配
ガルーダ・インドネシア長距離路線
デンパサール~クアラナム~アムステルダム、デンパサール~ヒースロー
アムステルダムへはA330-200またはボーイング777-300ERで週6便、ヒースローへはA330-200で週1便です。
経営状況が極めて厳しい状態ですが旧宗主国オランダへのフライトだけはなんとか維持しているようです。ヒースローは週1便なのでなんとも言えませんが……
イスラームの関係からサウジアラビアにも飛ばしています。(ジェッダ、マディーナ)
マレーシア
イギリスが植民地支配
マレーシア航空長距離路線
クアラルンプール~ヒースロー
ヒースローへはダブルデイリーでA350-900です。
マレーシア航空も数年前の航空機墜落事故以来経営状況が厳しく大幅の路線縮小をしましたが、それでも宗主国イギリスへはダブルデイリーで運航しています。イスラーム教徒が多くいる国のためサウジアラビアにも飛ばしています。(ジェッダ、マディーナ)
バングラデッシュ
イギリスが植民地支配
ビーマン・バングラデシュ航空長距離路線
ダッカ~シレット~ヒースロー
ヒースローへは週4便でボーイング777-300ER
ここも決して大きくはない航空会社ですが旧宗主国イギリスへは飛ばしているようです。
スリランカ
イギリスは植民地支配
スリランカ航空長距離路線
コロンボ~ヒースロー
ヒースローへは週9便でA330-300で運航。
ここもそこそこですが旧宗主国イギリスへは飛ばしているようです。週9便と多めです。アフリカのセイシェルや中東6カ国にも飛ばしています。
まとめ
東南アジアから欧米はフライト距離が長い分、長距離機材を必要とし、また運航コストも巨大かつ航空会社同士の競争もあり大変だと思われます。それでも今回取り上げた超巨大エアラインでなくても旧宗主国へは飛ばしていることから、航空会社にとって旧宗主国との関係は第2次世界大戦から70年ほど経った今でも深く残っているのだなと感じました。
一応仮説はあっていたっぽいです。ですがフィリピン航空に関しては、東南アジア~北米が現在需要がめちゃくちゃあることから日系エアラインも含め多くのエアラインがこの区間の顧客獲得をしていることから植民地支配だけではなさそうですね。