教員免許が失効しても消えない免許

教員免許は取得から10年後にどうなってしまうのか? ただの紙屑になるのか?ということについて書きます。

教員免許にはかつて有効期限がなかったのですが、現在では免許法によって所要資格を得てから10年後の年度末とされています。所要資格とは文科省によれば、「免許状の授与に必要な学位と単位を満たした状態」としています。

通常学部で取る場合には所要資格を得てすぐに学校で一括申請するので免許表授与と一致します。(大学卒業と同時に取得する場合、1種免許だと大学卒業の学位が所要資格となるので免許状授与と同時になります)個人申請の場合等では必要な単位を取得後に、自分で申請をした後に授与されるためタイムラグが発生するためこうした書き方になっています。

 

筆者の場合、2021年の3月に所要資格を得て、卒業式で教員免許状が教育委員会より授与されるので、有効期限は2031年の3月末となります。

その際、2031年4月になったらどうなるのか?というのが今回のテーマです。

教員の場合

まず、現職の教員の場合です。

結論から言うと一部を除きレッドカードとなります。教員免許の更新講習の受講義務者に該当します。

文科省によれば

 更新講習の受講対象者(講習を受講できる者)は、普通免許状又は特別免許状を有する者で、以下に該当する者です。
(1) 現職教員(校長、副校長、教頭を含む。ただし、指導改善研修中の者を除く)
(2) 実習助手寄宿舎指導員学校栄養職員、養護職員
(3) 教育長、指導主事、社会教育主事、その他教育委員会において学校教育又は社会教育に関する指導等を行う者
(4) (3)に準ずる者として免許管理者が定める者
(5) 文部科学大臣が指定した専修学校の高等課程の教員
(6) 上記に掲げる者のほか、文部科学大臣が別に定める者

このひとたちは更新講座を受講・修了しなくてはいけません。(以下は受講・修了と書くと長いので受講とします。受講したのに修了できなかった人は多分いないと思うので。)もし行わなかった場合、免許状が失効し、返納する必要が出てきます。ということは、今まで取得した単位等が全て消えるのかといえばそうではありません。更新講座を受講・修了し、都道府県教育委員会に申請をすれば再び交付されます。そのため1から取り直すというわけではないのがこの制度の特徴です。そして実はこの講座の受講免除規定もあります。

その免除対象者は文科省によると

(1)教員を指導する立場にある者

校長(園長)、副校長(副園長)、教頭、主幹教諭または指導教諭(注8)
教育長、指導主事、社会教育主事、その他教育委員会において学校教育又は社会教育に関する指導等を行う者(注8)
免許状更新講習の講師(注9)  など
(2)優秀教員表彰者(注10)
 文部科学大臣教育委員会などから、各教科の指導法または生徒指導その他その者の所持する免許状に関係する知識技能が優秀であることについて表彰を受けたことのある者のことです。
 なお、優秀教員表彰を若くして受けた場合に、それ以後は更新講習を2回あるいは3回と免除となるかといえばそうではありません。優秀教員表彰を受けた後の1回のみが免除の対象となります。

学校長をはじめとした偉い人達(言い方が適当すぎます)や、表彰された優秀教員は免除の対象です。この人たちは受講はしなくていいものの、免除上の更新手続きの申請を行う必要があります。時々免除対象者が更新手続きの申請を忘れて失効するというニュースを聞きます。忘れて失効してしまった場合、通常の教員と同じ手順を踏むことになります。

この辺の規定はかなり複雑なので学部レベルではあまり扱わず、私も卒業間近になり知ったことも中にはあります。

教員ではない場合

次に、教員免許を取得したものの、教職以外の人です。私もこれに該当します。

こちらの場合、更新講座の受講ができず、免許の更新はできません。

こちらも複雑なので1つずつ見ていきます。

まず、更新講座について受講の際には、自分が受講対象者であることを証明する必要があります。この時点で教職以外だと証明しようもなく申し込み不可能です。

では、教員免許は紙くずになるのかといえばこれも違います。失効しても履歴書にかけます。その際には更新講座を受講する必要があると書けば問題ないとしています。ここで、対象者でないのに更新講座受講??となるかもしれません。実は現職の教員でなくても以下の該当の場合には受講ができます。

(7) 教員採用内定者
(8) 教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者
(9) 過去に教員として勤務した経験のある者
(10) 認定こども園で勤務する保育士
(11) 認可保育所で勤務する保育士
(12) 幼稚園を設置する者が設置する認可外保育施設で勤務している保育士

そのため私の場合で考えると2031年の3月に失効したものの、一念発起し2032年教員採用試験を受験し、その年の試験に正規教員として合格または臨時任用のリストに入った場合、受講ができます(というより教員になるまでに更新講座を受講する必要が出てきます)

まとめ

現職の教員は受講を修了し免許を更新しなさいということです。一方、教職ではないときには10年で免許が失効したからといって教職でなければそのまま引き続き資格として残るわけです。そして失効しても元々持っていたのであれば教職に就くこともできます。これは旧免許状でも同様です。一度取った教員免許は消えることなく生き続けるので取るだけで死ぬまで資格欄に書けます。

参考サイト

www.mext.go.jp

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