中学と高校両方の教員免許を取得するべき理由

今回のテーマも教育系ですが、免許の校種についてです。

対象は私のような教育学部でない学生が教員免許を取る場合についてです。教育学部(特に初等教育に力を入れている学校や学部学科)によっては中学校免許まで取れても、高校は取れないという学校も多いので、そこは考えずにすすめていきます。

 

教育学部でない場合、多くの学校で中学校と高校の教員免許が取れます。都留文科大学では教員養成系でなくても小学校免許が取れますが、他大学では知っている限りないかと思います。また、他学部・他学科履修制度で取得できる教員免許の数が増える場合もあります。

その際、高校免許だけ取る学生も多いですが、私はそれは本当に勿体ないと思います。では、どうして中学校と高校、両方の教員免許を取得するべきかということについて書いていこうと思います。

 

両方取得しても負担は2倍にはならない

小学校免許は実習が中学校・高校とは別に実習は4週間なので負担は大きいですが、中学校と高校の両方の教員免許を取得しても中学or高校での実習3週間です。片方だけだと2週間になります。両方取得すれば、実習校を自分で探す際にも候補が広がります。ただし、実際には中学校の場合には介護等体験7日間が入るので実習期間は倍になってしまいます。ただし、こちらは教育実習ほどハードではないです。

普段の授業については履修数は2倍にはなりません。

今回は私の大学の事例を出します。種類は中学校1種社会、高校1種地歴・公民です。地歴と公民は別の免許になるので、もしかすれば他教科より多いかもしれません。

中学校免許では学校経由での免許申請に必要68単位中、32単位は卒業要件に入れられるので負担は36単位です。

高校地歴、公民免許では学校経由での免許申請に必要68単位中、40単位は卒業要件に入れられるため、負担は28単位です。

片方だけの場合にはそれぞれの負担○○単位が余分に取る単位となりますが、中学社会・高校地歴公民すべて取る場合には免許申請に必要なのは106単位となり、うち60単位は卒業要件に入れられます。負担は46単位となります。(もし高校のうち片方だけでも6単位ほどしか変わりません)

中学高校の両方を取得する場合、卒業要件も含めた必要単位では約1.56倍、実質的な教職負担だと高校のみと比べると1.28倍です。

このように取るなら中学校と高校両方取ってしまった方がいいわけです。卒業要件を除いた教職負担ではおよそ1.3倍しか履修単位は変わらないわけなので。

学校によって基準は変わりますが、2つ取ってしまった方がお得というのはどこの大学でも一緒だと思います。

 

教師に採用される確率が高まる

こちらの方が大きいと思います。近年は教員採用試験の倍率低下が話題になっていますが、特に顕著なのは小学校です。そのため今回はあまり関係ありません。

まず、最も教員採用者数が多い東京都を見てみます。東京都では一部教科を除き、中学校と高校の採用試験は共通です。(特別支援学校の試験は片方の免許で受けられ、かつ特別支援の免許がなくても受験可能です)共通ということは、片方しか免許がないと受験資格がないということです。

このように、中学校と高校の両方の免許がないと受験さえできないという事態になります。裏を返せば、両方持っている時点で採用試験は有利です。私学は両方持っている方が有利と明確に記載してある学校もあります。

これだけではありません。学校数は2019年5月現在で中学校は10,222校、高校は4,887校あります。*1

すなわち、学校数からしても高校教員は狭き門となります。

さらに倍率と採用者数を見てみます。ここでは新潟県を例に出します。2019年は中学校社会の合格者は21人で倍率5.0倍です。高校は公民は採用がなく地歴は歴史で合格者1人で倍率は46.0倍です。前年の2018年は中学校社会の合格者は23人で3.0倍、高校の歴史は合格者2人で倍率18.0倍、公民は合格者1人で倍率15.0倍です。このように高校の場合には採用者数が少ないうえに、年度によっては自分の持っている免許では試験がない場合もあります。絶対になれないわけではないですが、確率的には圧倒的に中学校の方がなりやすいのが現実です。

余談ですが新潟県の小学校は2019年には倍率2.3倍、2018年には倍率1.2倍と定員割れスレスレ状態でした。どうしても教員になりたい場合には、大学在学中から小学校教員資格認定試験を受験し、合格して小学校2種免許を取得するのも方法だと思います。ただ話を聞く限り、大変そうです。また、国立上越教育大学大学院の教育職員免許取得プログラムでも小学校をはじめ色々な校種や教科の免許を取得できます。筆者は高校時代に上越教育大学をすすめられたことがあります。*2大学時代の友人も学校で小学校免許が取れないためにここの大学院を受験しました。

 

こんな感じで中学校と高校の教員免許を両方取得するべき理由について書きましたが、実際には両方取得している人の方が多いと思います。教職に就く場合はもちろんん、そうでない場合にも履歴書には2校種持っていれば中学校教諭一種免許状(教科名)と高等学校教諭一種免許状(教科名)と記載できるので、資格欄をより飾ることができます。

*1:義務教育学校中等教育学校通信制独立学校や特別支援学校除く

*2:教育学部志望でしたが、途中で経済・経営・商学系に進路変更しました