【更新】2021~22年 RAW現像向けノートパソコンの選び方&おススメ機種

筆者は時々Adobe Lightroomを使いRAW現像をしますが、パソコンの買い替えってとても悩みました。実際に3か月近く悩みましたが、その際に色々と勉強になったので振り返りも兼ねて書いてみようと思います。

※ 当ブログではアフリエイトプログラムには一切参加しておりません。そのため、筆者の主観となっております。また、値段や情報については2021年10月現在のものとなっており、現在とは異なる可能性もございます。

 

 

選び方

スペースが許すならデスクトップで

いきなり本末転倒ですがこれには理由があります。それはノートパソコンよりも高性能であり、かつ安いことです。私の場合は場所的な問題があったためこれは叶いませんでした。また、ノートパソコンよりも大きなことから排熱性にも優れています。本体の小ささは便利な一方、熱がこもりやすく、本来のパフォーマンスを発揮できず、寿命を縮めることにもなります。

 

ディスプレイに着目

ディスプレイ?というとFull HD、4K?となるかもしれませんが、そういうことではありません。色域です。広い色域のものは色を正確に出すことができるので、できるだけ広い色域のモデルを選びましょう。色域について書いてないモデルばかりですが、そういったモデルは基本的に色域の狭いものかそれほど広くないものなので、おススメできません。

色域の広いモデルにはSRGB比○○%とかSRGB○○%、Adobe RGBカバー○○%という表記がされています。ここで「比」と「カバー率」というものが出てきますが、細かいことは省略しますが「カバー率」の方が現実的かつ正確です。何もないときは比の可能性が高いです。

SRGBとAdobe RGBの違いとしてはこちらを参考に。もしも印刷しないのであればSRGBカバー率の高いモデルで大丈夫ですし、印刷をするのであればAdobe RGBカバー率の高いモデルの方がいいです。(追記 ただし一般的なプリンターや印刷サービスではSRGBにしか対応していないことも多々あります)

何%か書いてあるメーカーもあれば、そうでないメーカーもありますが、パソコン比較サイトのThe 比較様をはじめ一部サイトには計測結果が載っていますので、参考になると思います。

余談ですがMacだとSRGBカバー率とDCI-P3カバー率は100%か限りなく近く、Adobe RGBは9割程度という結果が他の方の計測結果で出ています。

knowledge.support.sony.jp

CPUに着目

現像の際には大変重要になる部分です。現時点ではIntelAMDがありますが、Lightroomだとノートパソコンの場合は計測結果を見る限り、Intelの方がパフォーマンスを発揮できる傾向があるような気がします。

Intel Core 11世代であれば、Core i7 11800H以上ならほぼ間違いなく大丈夫な気がします。ちなみに最後のアルファベットがHのものは通常のUやGのものよりも性能が高いです。Core i7といっても実は様々なものがありますがi7のHシリーズはその中でも特に高性能なシリーズです。更に強化されたCore i7 11850Hもあります。いずれも8コア16スレッドとハイスペックです。Core i9は高いうえにあまり搭載モデルもないです。Apple M1チップはLightroomとは相性が良いです。

 

メモリの容量は16GB以上 オンボードは避けよう

Lightroomの場合、メーカーでも推奨は16GB以上となっています。そのため16GBは最低でも欲しいところです。また、 高画素カメラの場合や複数個ソフトを起動する場合などは32GBあってもいいと思います。

また、一部機種ではオンボードタイプのものがあります。これだと後々増設ができないことから注意が必要です。

特にMac Book ProやAiriMacなど色域も広くCPUも高性能とクリエイターうってつけの機種ですが、メモリ増設やSSD換装や増設が不可能な点は注意が必要です。

SSDは512GB以上 NVMe規格のものを

筆者は256GBのものを使っていましたが、正直あまり入れていなくても半分くらいは埋まってしまいます。(Lightroomさえ入れていません)特に現像ソフトは容量を食い、写真を現像する際には余裕をもって512GBはあった方がいいと思います。1TB以上になると結構高くなることもあるので、外付けHDD/SSDの併用も行った方がいいと思います。

また規格は色々とありますが、SATA規格に比べ、より新しいNVMe規格の方が読み込み/書き込みスピードが圧倒的に早いです。高価格帯のノートパソコンは現在ではこちらの規格のSSDの方が最近は多いです。

 

その他

グラフィックスはRAW現像ではそこまで重要ではないそうです。CPU内蔵やローエンドのグラフィックスで十分だと思います。(NVIDIA GeForce RTX 3050や3050Tiなど)また、これらの要求を満たすパソコンは秋葉原ヨドバシカメラや有楽町のビックカメラなどを除き、基本的には家電量販店には在庫がないので、インターネットでの購入がメインとなります。

 

おすすめ機種(15型)

今回ここでのおススメ機種はいずれもAdobeRGBカバー率の高いモデルの紹介となっています。(ただし、ここの紹介機種はSRGBカバー率は100%か限りなく100に近くそちらにも対応はしています)

印刷は滅多にしないという方向けにSRGBカバー率が高く、更に安いモデルを集めた記事もあるので、こちらもよければどうぞ。

peugeot208.hateblo.jp

 HP Envy15

更新 2021年モデルが日本で発売開始されました。順次内容を更新します。

Intel Core i7 11800H + 32GB DDR4-3200MHz + 2TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA RTX 3060(Laptop)

OLED UHD(4K) (Adobe RGBカバー率100%:色域変換機能付き)モデル 319,000円(定価)

7% offクーポン適用時 296,670円

 

昨年よりは半導体不足もあってか割高な印象ですが、それでもクリエイターノートの絶対的王者XPS15に比べれば割安となっています。値段・スペック的にはMSIの新たなクリエイターノート(後ほど紹介します)Creator Z16と似ていますが、こちらの方が解像度やSSD容量の点で優れています。色域変換機能の有無は現時点では不明ですが、最廉価グレードを除き4KUHD画面でDCI-P3カバー100%となっています。

HPや次で紹介するDellの特徴としては常時7%offクーポンがネットに転がっている点や、ポイントサイト経由(リーベイツやクレカのポイントサイト)で結構貯まることから実質表示価格よりは安くなります。更にHPの傾向として週末限定セールで大幅値引きを行っている点や発売開始からしばらく経過すると定価自体を下げる傾向にあることからかなりお得に購入することもできます。

個人的には今年もコスパの面から一押しのノートパソコンです。

jp.ext.hp.com

前モデルを購入しました。その際のレビューです。

peugeot208.hateblo.jp

 

peugeot208.hateblo.jp

 

Dell XPS15 9510

www.dell.com

スペック(一例です)

Intel Core i7 11800H + 32GB DDR4-3200MHz + 1TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA RTX 3050Ti(45W)

FUllHD+ (SRGBカバー率100%)モデル 271,184円(20%off時)

OLED 3.5K (Adobe RGBカバー率100%:色域変換機能付き)モデル 313,124円(20%off時)

 

Windowsを代表するクリエイターノート。スタイリッシュなデザインと16:10の画面比モニターが特徴的。色域変換機能が付いているのも使いやすいです。有機ELモデルとそうでない普通の4Kモデルがあります。他モデルと比べると割高である点や、通常のサポートの場合、大連のコールセンター行きになってしまう点がデメリット。納期も即納モデルでない限りは1カ月近くかかります。予算が潤沢にあるのであればおススメです。ちなみに毎週特別価格ですが、本体価格が20%OFFになったときがねらい目です。今年から購入時に32GB,64GBメモリ増設が可能になりました。32GBは追加2万円程度なので追加したほうがいいと思います。

まだ出たばかりなので秋頃には少しは安くなるといいですが……

 

MSI Prestige15

jp.msi.com

スペック(一例です)

Intel Core i7 1185G7 + DDR4-3200メモリ(16-64GB) +  1TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA GTX 1650Ti Max-Q

FUll HDモデル(SRGB相当)     187,800円(パソコンショップアーク、カスタマイズ前メモリ16GB)

4Kモデル(Adobe RGB相当) 206,800円 同上(ただしメモリ32GB)

台湾のゲーミングPC、マザーボード等で有名なMSIが作ったクリエイターノートパソコン。特徴はこのクラスにしては超軽量の1.69kgに加え、アメリカのMIL規格に対応した耐久性の高さです。また、MSIのパソコンはMSI公認サポート店でメーカー保証を残したままメモリ増設を行えるという、他社にはない特徴もあります。また、公式修理はMSI公式サポート店に指定されている全国のパソコンショップアークと秋葉原パソコンショップアーク(こちらは公認サポート店指定もされています)で行え、他社以上に楽にできると思います。ちなみにSRGB相当ディスプレイ、AdobeRGB相当ディスプレイともに色域変換機能付きです。残念な点はCPUが紹介している他の製品よりも若干性能が低い点です。値段的には十分お買い得ですし、アークなどで購入する場合にはメモリやSSDを選べる点でも嬉しいです。(筆者はサムスンSSDがお気に入りです)

 

Gigabyte Aero15 OLED(有機EL)

www.gigabyte.com


スペック(一例です)

Intel Core i7 11800H +16GB DDR4メモリ + 512GB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA GeForce RTX 2060 

230,780円(amazon,アーク)(DCI-P3カバー率120%の4K)

こちらも台湾のPCメーカーです。MSIに比べ日本での知名度、販路はまだまだだと思いますが、とてもいいパソコンを売っています。特に出荷前にX-Rite Pantone キャリブレーション技術でキャリブレーションを行っていることからかなり高精度なモニタとなっています。Microsoft Azure AIを搭載するな世界の最先端をいくPCであることは間違いないです。DCI-P3カバー率120%というバケモノです。

残念な点としては製品保証が2年で延長等が不可能な点と、色域変換機能がないとのことです。

メモリ増設などはアークで購入する場合には購入時に変更できるため、アマゾンと違い10%offになりませんが、後々のことを考えればアークの方がいいような気がします。

 

おすすめ機種(16型)

MSI Creator-Z16(16インチ)

www.ark-pc.co.jp

 


スペック(一例)

Intel Core i7 11800H +32GB DDR4メモリ + 1TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA GeForce RTX 2060 

249,800 (DCI-P3カバー100%、QHD+ (2,560 x 1,600))  パソコンショップアークの価格

 

すでに紹介したMSI Prestige 15の更なる上位モデル。価格的にはクリエイターノートの王者XPS15の4Kモデルと同価格帯となります。液晶パネルはQHD+ですがリフレッシュレート120Hzとほかのクリエイターノートでは60Hzのものが多い中で優れています。色域変換機能もありこの点も非常に使い勝手がいいです。また、アークで購入した場合にはSSD等のカスタマイズができる点(それも保証を残したままで)も魅力的です。今年から発売開始となったグレードのため、今後が非常に楽しみな1台でもあります。

時々セールで値下げやMSIの公式オンラインストアパソコンショップアークで初期構成が違うことがあります。

おすすめ機種(13型)

Mac Book Pro(13インチ)(apple M1チップ搭載モデル)

www.apple.com

スペック(一例)

Apple M1チップ+16GBメモリ+1TB SSD 214,280円(apple store)

解像度 WQXGA(2560*1600)  Display P3カバー率100%

最初に執筆したときはまだM1チップが出たばかりであったため保留しましたが、現在では対応ソフトも増え、性能も非常に高いことから今回から載せています。

もはや知名度抜群なので説明するまでもないですが、色域はSRGB,DCI-P3カバー率は他の方の計測結果でおよそ100%、Adobe RGBカバー率も90%程度と流石元祖クリエイターノートなだけあります。更に独自開発のapple M1チップも非常に高性能でLightroomなどクリエイターソフトを動かしても十分なパワーを持ちます。ただし、色域変換機能はありません。

残念な点として、SSDやメモリなどの増設ができないことです。apple製品全体に言えますがブラックボックス化しており絶望的なことに加え、欧米で近年トレンドとなっている「修理する権利」に対して反対をしている一大勢力であることからも今後もこの点は絶望的だと思います。

番外編  印刷しない(SRGBカバー率が高ければ十分)方向けのおすすめ機種

こちらでは写真現像で最低限必要なSRGBの色域がカバーできていれば十分、またはカラーマネジメントモニターを使うので最低限ノートパソコンはあれば十分という方向けです。スペースが許せばカラーマネジメントモニターを設置してしまうのもいいと思います。

raytrek R5-TA6 32GB

www.dospara.co.jp

スペック(一例です)

Intel Core i7 11800H + 32GB DDR4-3200MHz + 1TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA RTX 3060

FUllHD (SRGBカバー率99%)モデル   189,979円

かつて国内メーカーのクリエイターノートといえばマウスDaivシリーズが圧倒的でしたが、最近ではドスパラのraytrekシリーズも勢いが特にあります。個人的にはSRGBの色域にしか対応していないものの、しっかりとSRGB比とSRGBカバー率を別々に公表している点からもドスパラがクリエイターノートに力を入れていることが感じられます。

raytrekシリーズにはいくつかありますが、今回おすすめするR5-TA6 32GBはベースモデルからメモリ32GB、SSD1TBに増設されているモデルで非常に現像に適したモデルとなっています。他社の場合(特にゲーミングではない色域の広いモデル)ではどうしても20万円台中盤~という製品が多い中で、20万円を切るこのモデルは非常にお得だと思います。浮いたお金で本格的なカラーマネジメントモニターを購入するのもアリだと思います。

 

ちなみにGPUGeForce RTX 3050に落としたモデルであればさらに安く、169,980円で購入可能となります。RAW現像ではGPUがCPUやメモリに比べそれほど重要ではないのでこちらのモデルもアリだと思います。

www.dospara.co.jp

 

Mouse Daiv 5P-H(32GBモデル)

www.mouse-jp.co.jp


Intel Core i7 11800H + 32GB DDR4-3200MHz + 1TB M.2 PCIe NVMe SSD +NVIDIA RTX 3050

FUllHD (SRGB比100%)モデル   208,780円

国内BTOパソコンでは圧倒的知名度のマウスのクリエイターノート。長野県飯山製造の高品質ノートで知られています。中でもDaivシリーズは国産クリエイターノートとしても非常に有名です。今回は定番のDaiv 5Nシリーズではありませんが、最新のCPUを搭載しています。ライバル機種は先程紹介したドスパラのものですがこちらの方が高く、かつGPUの性能が低いことから少し残念ですが、国内生産とサポートの手厚さが売りのマウスなのでその点を重視する場合であれば買いだと思います。

まとめ

とにかくクリエイターノートというもの自体が少ないため、選択肢が狭まってしまうのが残念です。また、値段もAdobeRGBカバー率の高いモデルはおおよそ20万円程度~と敷居は高いです。その一方で、これらの多くはLightroomなどのソフトが最適化されているためにパフォーマンスを発揮しやすいなど、デスクトップでなくても十分にRAW現像に使えると思います。印刷を視野に入れていない場合にはSRGBカバー率の高いモデルで十分ですが、こちらはそれなりに数があります。また、場所が許すのであればカラーマネジメントモニターが5万円程度からあるので、そちらを購入してもいいと思います。

最後にですが納期が気になる人はこの中だとMSIGigabyteがいいと思います。この2つは原則として即納モデルです。Dellは基本的にBTO(カスタマイズ)なので僅かにある即納モデル以外は厦門から出荷するので3週間~1ヶ月程度時間がかかります。HPはほとんどカスタマイズはできませんが頻繁に在庫切れになる印象があり、在庫が切れると最低でも1ヶ月程度、2,3ヶ月程度はよく聞きます。下手をすると半年近くかかることもあるそうなので、本当に余裕がある人か在庫があるときに即決できる人以外はおススメできません。

追記

値上げと品薄という最悪な状況です。半導体不足に加えパソコンの需要増加によって二重で苦しい状況が相変わらず続いています。多くのモデルで昨年に比べ値上げしています。